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視野について

正面の1点を見つめると、上下左右の景色が眼にはいります。このように眼を動かさないで見ることのできる範囲を視野といいます。その範囲は、白い明るい視標を見たとき、上に60度、下に70度、外側に100度あるとされています。また、視野の範囲は、見る色により、白、青、赤(黄)、緑の順に狭くなります。一般的に視野というと白色視野のことをいいます。

自分の視野について表現する

さて、あなたは自分の視野が何度あるのか知っていますか。視力については、右が0.02、左が0.08ですと比較的スムーズに戻ってくるのに、視野になると結構あいまいになっていることがあります。

周辺に少し残っていますが、真中ははっきりしています。

見たいところが見えないのですが、あとは問題ないようです。

目の前にもやがかかっているみたいです。

このような訴えをよく聞きます。けれども、ずばり「右の視野が中心に10度残っていて、周辺視野も耳側に上から下にかけてあります」「真中がすりガラスのように濃い状態ですが周辺は問題ないようです。真中もコントラストがはっきりしています」というような答えはなかなか戻ってこないのです。

また、「損失率90%だと言われていますが」「視野って重要なんですか」などの反応が戻ってくることもあります。

そして、「視野検査のあとに視野表を見ながら細かい説明を受けたことはありますか」との問いには、「その大切さがわからずにただ聞いているだけでした」との答えが多くありました。

視野計測について

視野表や眼科診断書の視野計測で、狭く表現されている島は高輝度で小さな光視標ではかったものです。したがって弁別域が小さく表記されます。

しかし、これが日常生活の視野をすべてあらわしているわけではありません。それよりも大きく描かれている島は、輝度としては弱く大きな光視標ではかったものです。

日常生活での視野はさまざまな光の世界を私たちが感知していることから考えると、大きな島として表現される視野の方が重要です。

ロービジョン訓練では、アムスラーチャートを用いています。あなたが認識できる視距離で、30度の中心視野を計測します。なぜなら、私たちの眼にとって、まず大切な視野は中心30度の範囲だからです。

また、赤や青のカラーセロファン紙を巻いたペンライトを視線をまっすぐの状態にして見てもらいます。そして、周辺から光を入れ、入射光が見えているかをあなたの内省をもとに確認します。 アムスラーチャートの写真アラムスチャートの写真

視野が中心に10度ある場合の見え方

視野で重要なのは、その角度です。たとえば、あなたの視野は中心に10度ありますねと言われたら、実際には、どのように見えているのでしょうか。

視野が10度では60cmの距離で直径10cmの円のなかが見えることになります。これが半分の30cmの距離になると直径5cmの円のなかが見えていることになります。また、その半分の15cmになると、直径2.5cmの円のなかが見えることになります。

逆に、60cmの倍の1.2mでは直径20cm、その倍の2.4mでは直径40cmの円のなかが見えるということになります。また、その10倍の6mになると直径1mの円のなかが見えていることになります。

1)遠くから見たイメージ遠くから見たカレンダーのイメージ

2)近くから見たイメージ近くから見たカレンダーのイメージ

ということは、視力が良ければ良いほど、遠くを見る場合には視野が広くなるため、全体の状況を把握することができます。しかし、近くになればなるほど視野が狭くなるため、その状況を把握することが難しいということが理解できると思います。

廊下を歩くことで変化する見え方

たとえば、あなたが廊下を歩いているときのことを考えてください。遠くに目をやると、廊下の幅も、置いてあるものも視野に入っています。このときには、あなたがぶつかりそうな危険なものを予測することもできました。

そして、あなたは廊下をどんどん歩いていきます。すると、それまで視野に入っていた情報が消えてしまいました。少し心配になったあなたはそこで立ち止まり、頭を左右上下に動かして周囲の状況を確認しました。

けれども、あなたはそこで危険な場所を通り過ぎたのではないかと思います。そして、歩きはじめてとうとうぶつかってしまいました。あれほど気にかけていたにもかかわらず……。

廊下を移動することで、あなたの見え方は変化します。つまり、近づけば近づくほど、それまで見えていたはずのものが視野からはずれてしまうのです。また遠くなればなるほど、その全体が視野にはいります。つまり、その距離によって、視野が情報をとらえる範囲が変化するということです。

また、このように周囲の情報を得たいとき、近くで見る場合には視野が狭くなるため、それだけ自分の眼や頭を大きく動かさなければなりませんが、遠くから見る場合には視野が広くなるため、それほど大きく動かす必要はありません。

眼球を動かして見ること

たとえば、あなたがレストランにいたとします。テーブルの上にはいろいろなものがのっています。

まず、自分自身の皿の上に何がのっているのか、なかなかわかりません。調味料がある場所についても同じです。そのひとつひとつを確認しているうちに、周囲の人が気を利かせてコップをあなたの横に動かしてしまいました。

そのことに気がつかなかったあなたは、ふいに手を横に出してしまいました。するとガチャンとコップが倒れてしまいました。コップの位置もきちんと確認していたのに……。

また、普段、あなたが探しものをしたときのことを思い出してください。あなたはそのとき一生懸命にそれを探しましたが、いくら探しても見つかりません。そして、あきらめかけたときに、ふと見ると、探しものが見つかりました。しかも、それは簡単に見つけられそうな場所にありました。そこで、あなたは本当に疲れ果て、しばらくは何もしたくなくなってしまいました。

このように周囲の状況を確かめたり、ものを探そうとしたときに、頭をあちこちに動かしてしまうことが多いと思います。しかし、頭を動かすたびに、視野の情報は、ぽん、ぽんと飛んでしまいます。これでは、疲れてしまうのも当然です。

このような場合には、まず、自分の眼球を意識して、視線を丁寧に動かすことが大切です。頭を動かさずに、眼球を動かすことで、視野がきれいにつながり、情報を連続して見ることができるようになります。

さて、あなたは自分の視野について、どれくらい知っていますか。もう一度、とらえなおしてみましょう。視野についてもよく知ることで、自分の眼を有効に活用することができるようになります。

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