LVST-Tokyoトップへ

LVST-Tokyo Web site

メニュー

現在位置 : トップ >> 視力・視野って? >> 視力について

視力について

私たちは自分の眼をとおして見ています。では、ほかの人にはどのように見えているのでしょうか。比べるものがなければそれを知ることはできません。また、その基準がなければ、かなりぼんやりとした見え方でも、それが普通であると思って一生を過ごしてしまうかもしれません。視力とは、そのための基準のひとつです。

ランドルト環視力表

視力検査でよく使われる視力表のひとつに、ランドルト環視力表があります。このランドルト環視力表は、イタリアのランドルトという学者が考案したものです。

この視力表では、直径7.5cm、太さ1.5cmの環に1.5cm幅の切れ目がある視標を用います。その環の切れ目がある方向を5mの距離から見分けることができる視力を1.0としています。

また、このときの切れ目と眼の角度は1分(60分の1度)になります。視力は、このランドルト環の切れ目の両端である2つの点が離れていることを見分けるいちばん小さな角度で表されます。つまり、この距離が2.5mになると、このときの角度は倍の2分になるので、視力は0.5になります。 ランドルト環のイラスト

遠見視力と近見視力

ランドルト環視力表を用いた検査では、一般的に5mの距離を基準として視力を計測します。この視力を遠見視力といいます。

この場合、視力が0.1以上であれば5mの距離から計測しますが、視力が0.1以内であれば50cm〜4mの距離から計測します。ですから、視力の値が低くなればなるほど、ランドルト環視力表に近づいて、計測することになります。

ところで、ランドルト環に近づくことでランドルト環そのものは見やすくなったのに、何だかとても見づらくなったという経験はありませんか。これは、視野にも関係があります。

遠見視力は5mの距離を基準としているため、手が届く範囲以上の距離から計測した視力ということができます。つまり、ここで視力を矯正してもよく見えないとしたら、それは、手が届くよりも広い範囲でも生活行為に支障をともなう可能性があるということになります。 ランドルト環のイラスト

一方、近見視力とよばれる自分の手が届く範囲の距離で見るための視力があります。この視力は、30cmの距離から計測します。実際に自分の手もとで作業をするときに、どれくらいの視力を用いることができるのかを、近見視力表で検査します。 近見視力表の写真

遠見視用のランドルト環の0.1の視標と近見視用のランドルト環の視標の大きさは異なっています。つまり、どの位置から計測したかで、あなたの視力の状態を把握することができるのです。 遠目視力表のランドルト環と、近見視力表のランドルト環のイラスト

けれども、残念ながら遠見視力は知っていても近見視力のことを知っている方は決して多くありません。実際のところ、日常生活においては30cm〜80cm程度の距離で眼を用いることが多いのです。ですから、視力といった場合には、遠見視力だけではなく、近見視力についても知ることはとても大切なことなのです。

左眼が光覚のみという先天性緑内障の青年の話

この青年は、自分の視力についてすっかりあきらめていました。日常生活において、自分の眼はほとんど役に立たないものと判断し、そこで全盲タイプの訓練を受けに来られたのです。

拡大読書器については、ときどき必要に迫られては使っていたようでした。しかし、彼自身にはほとんど見えないという意識が強く、字を読むことは何とかできても書くことについてはできないとなかば思い込んでいました。そして、自分ひとりでは歩くこともできないような状態でした。

そこで、まず、近見視力の話をしました。次に、色覚や光覚についての話をしました。そして、もう一度、眼の評価をきちんとしてみようということになりました。

実際に検査をしてみたところ、彼は15cm程度の距離なら、2×2cmの文字を読むことも書くこともできることがわかりました。

そこで書字ガイドを作成し、訓練を開始しました。次第に彼は自分自身の眼に対する信頼性を回復していきました。その結果、拡大読書器を自由に使うことができるようになり、また、単眼鏡を使うこともできるようになりました。

そして、自分ひとりで自由に歩くことができるようにもなり、夜間の歩行も確実になりました。

このように、視力のことを考えるときには、遠見視力だけでなく近見視力についてもどの距離でどのように使うことができるのかを確認することは、とても重要なことです。

さて、あなたは自分の視力についてどれくらい知っていますか。ここでもう一度とらえ直してみてください。

視力のいろいろ豆知識

一般的に視力といわれているのは中心視力のことです。主に網膜黄斑部中心窩での視力のことをいいます。また、この中心窩からずれたところで見る視力を中心外視力といいます。

近見視力や遠見視力のほかには、静止したものを見る静止視力、動くものを視標とした動体視力などがあります。眼鏡やコンタクトレンズで矯正した視力は矯正視力。矯正していない視力を裸眼視力といいます。

片方の眼を完全に閉じてはかる片眼視力のほかに、両方の眼ではかる両眼視力もあります。この両眼視力は、一般的に片眼視力より約10%ほど視力が良くなるといわれています。

▲このページのトップに戻る