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ハンドライティング

書字用・読字用のタイポスコープを作ってみよう

自分の眼で見やすい環境を整えよう

牛乳パックのトレーニングなどを通して、自分の見え方や補助具がなくても自分の眼で見ることができる文字の大きさや太さがわかったら、自分の眼だけでも見やすく文字を読み書きできる環境を整えてみましょう。

ここでは、そのような環境を整えるために、自分でも簡単にできる工夫をいくつか紹介します。

それでも、これまでと同じように拡大鏡や拡大読書器などの補助具やパソコンを使って、新聞の本文程度の大きさの文字を処理したいという方も少なくないと思います。しかし、このような補助具を有効に使うためにも、また使いやすい補助具を選ぶためにも、自分の眼で見やすい使いやすいポイントを探すことが必要です。

補助具はあなたに100%の満足感を与えるわけではありません。ある場面では役立つけれども、ある条件が加われば使えないということもあります。ですから、補助具を使うまえに、まずは自分の眼で見ることが大切なのです。

自分にあった筆記具を見つけよう

補助具がなくても自分の眼で見ることができる文字の大きさや太さがわかったら、まず、その文字を書くことができる筆記具を見つけてください。そのような筆記具が1本でもあれば、あなたは補助具がなくても書きやすく読みやすい文字を日常的に使うことができるようになります。

また、そのような筆記具があれば、周囲の方にもその文字の大きさや太さを書いて見せることができるようになります。周囲の方にあなたが読みやすい文字の大きさや太さがきちんと伝われば、あなたに渡されるメモや資料はぐんと見やすくなります。これも、あなたが見やすい環境を整えるためには大切なことのひとつです。  次の項で作成する書字用のガイドスコープを使って文字を書くときにも、このような筆記具の選択は重要です。自分の眼で読みやすく書きやすい筆記具を選びましょう。

書字用のタイポスコープを作ってみよう

書字用のタイポスコープがあれば、罫線の色が薄い市販のノートや便箋でも書きやすく、いろいろな用紙に文字を1列にきちんと揃えて書くことができるようになります。工夫しだいでは、はがきや封筒の宛名書き用、事務用の書類などに必要事項を記入するための専用のタイポスコープを作成することもできます。

POINT

書字用のタイポスコープを作成するには、まず、書きたい文字の量や文字の大きさによって、B5版またはA4版などの用紙の大きさや縦書きか横書きかを決める必要があります。 どのようなものを作成すればよいのかイメージすることが難しい場合には、どのような大きさのものでもまずは作成してみることが大切です。

用意するもの

白い板目紙または厚手のボール紙(B5版またはA4版)  太い両面テープ、黒い紙(板目紙よりも少し大きめのもの)  定規、色鉛筆(白または黒)、ハサミ、カッター

(1)白い板目紙または厚手のボール紙の裏に両面テープを隙間なく貼り、両面テープのシールをはずして黒い紙を貼り付けます。
(2)白い板目紙または厚手のボール紙からはみ出した黒い紙の耳の部分を切り落とすと、片側が白色、反対側が黒色の原板ができあがります。
(3)上下左右の余白を決めます。とくに決まった用途がなければ幅を15〜20mm程度にします。書類に2穴パンチで穴を開けたりバインダーなどに綴じる場合には、綴じる側の余白は20mm程度にするとよいでしょう。
(4)自分が見やすいまたは書きたい文字の大きさを定規で測ります。行幅はその文字の縦幅よりも2〜3mm広くします。
文字の縦幅が12mmの場合は行幅は15mmになります。
(5)行間はとくに問題がなければ5mmを推奨しています。行間は狭すぎても広すぎても書きづらくなるので、自分の眼の動かし方に合わせて3〜7mm程度にするとよいでしょう。
(6)上下左右の余白と行幅、行間が決まったら、原板に色鉛筆で印をつけ、行の部分をカッターで切り抜きます。

POINT

書字用タイポスコープを使って文字を書くときは、行間の細いラインがノートなどの罫線の代わりになります。白と黒の両面が使えるので、用紙の色に合わせて使いわけることができます。また、切り抜いた行の部分は、捨てないでとっておくと読字用のガイドや本の栞としても使うことができます。

タイポスコープの写真

書字用タイポスコープは、このほかにも、はがきや封筒の宛名書き用、便箋用なども作成できます。このような専用のタイポスコープを作成するときには、用紙のサイズと書きたい文字の大きさや行幅、位置などを定規できちんと測ることが大切です。はがき専用のタイポスコープを作成するときには、行間を2mm程度にするとかなりの量の文字を書きこむことができます。

自分で作成することが難しい場合には、家族や周囲の方に手伝ってもらいましょう。最近では既成のタイポスコープも販売されていますが、使いやすさを考えると、やはり自分の眼にあったものを作成しておいた方がよいと思います。書くことに対する不安感をなくすためにも、まずは自分で必要なものから作成してみることが大切だと思います。

経理など、事務用の書類で必要事項をチェックしたり記入しなければならない場合には、あらかじめ原寸で必要な箇所を切り抜いた専用のタイポスコープを作成しておくと、記入もれやミスが減り、仕事の効率もよくなります。

たとえば、ある30歳代の女性は、網膜色素変性症で求心性視野狭窄が5度以内、中心視力が0.2でした。その女性は福祉施設の経理担当者でした。書類の多くはパソコンでも処理できましたが、手書きで処理しなければならないものも少なくありませんでした。そこで、専用のタイポスコープを数種類作成してみたところ、手書きで処理する効率も格段によくなり、仕事を継続することが可能になりました。 (専用のタイポスコープを作成すれば仕事の効率もぐんとあがるよ。)

例1.封筒(左:練習前、右:練習後)

封筒練習前 封筒練習後

読字用のタイポスコープを作ってみよう

本や雑誌を読んでいるときに、または書類に眼を通しているときなどに、行を読みとばしてしまったり、他の行が眼にちらちらと入ってしまい読むことに集中できないようなときには、読字用のタイポスコープが必要です。

ここで作成するタイポスコープは白と黒の両面が使えるので、拡大読書器で白黒反転モードを利用する場合にも便利です。本や雑誌、新聞など読みたいものに合わせて、自分の眼で見やすく扱いやすい大きさのものを作成してみましょう。

また、読字用タイポスコープの作成要領は書字用のタイポスコープと同様ですが、白い板目紙や厚手のボール紙の代わりに牛乳パックを用いてもよいでしょう。牛乳パックは、紙のこしが強くかなり乱雑に扱っても痛みにくいのが利点です。

用意するもの

白い板目紙(または厚手のボール紙、牛乳パックなど)
太い両面テープ、黒い紙(板目紙よりも少し大きめのもの)
定規、色鉛筆(白または黒)、ハサミ、カッター

(1)白い板目紙(または厚手のボール紙、牛乳パックなど)を読みたい本のページや本文の縦や横の幅に合わせて、本文が3〜4行おさまる程度の大きさに切ります。
新聞や雑誌など、文字が小さく何段かに組まれている文章を読むときには、本文の1段半の高さに合わせて3〜4行分おさまる程度の大きさにするとよいでしょう。
(2)白い板目紙(または厚手のボール紙、牛乳パックなど)の裏に両面テープを隙間なく貼り、両面テープのシールをはずして黒い紙を貼ります。牛乳パックの場合は、文字が印刷されている面に黒い紙を貼ります。
(3)白い板目紙(または厚手のボール紙、牛乳パックなど)からはみ出した黒い紙の耳の部分を切り落とすと、片側が白色、反対側が黒色の原板ができあがります。
(4)上下左右の余白、行の高さや幅、位置を決めます。上下左右の余白は本文の位置や余白に合わせます。行の高さや幅は文字の大きさにあわせて2〜5mmの余白をとり、読みやすさを考えて、本文が1〜2行おさまる程度にします。
たとえば左右の余白をページの余白にあわせて、本文が2行おさまるように行の高さと幅を決めます。行の部分が中央にくるように上下の余白を決めます。
たとえば、本文が2行おさまるように行の高さと幅を決めます。行の部分が中央にくるように上下左右の幅を決めます。行の部分が中央にくるように上下左右の幅を決めます。
(5)上下左右の余白と行幅が決まったら、原板に色鉛筆で印をつけ、行の部分をカッターで切り抜きます。
読字用タイポスコープは、本や雑誌、新聞などの書物だけでなく、携帯電話やサインガイド用としても作成することができます。時刻表やスケジュール帳などを見る場合にも専用のタイポスコープがあると便利です。あなたの工夫しだいでは、このようなタイポスコープは日常生活のさまざまな場面で役に立ちます。

書見台を使ってみよう

書字用、読字用のタイポスコープを使って文字を書いたり読んだりする場合に、長時間、上からのぞき込むような姿勢でいると非常に首や肩が辛くなります。このような場合には、書見台があると、比較的楽な姿勢で読み書きができるようになります。

書見台は、文房具店や100円ショップなどで購入することができます。書見台を選ぶときには、書字台としても使えるものを探すとよいでしょう。書見台というと、本や雑誌などを読むためのものであるとの思い込みから、それ以外の用途にはなかなか用いられていないようですが、ものによっては書字台としても十分に使えるものがあります。はじめのうちは本を読むためだけに使われてもよいのですが、これから書見台を購入するのであれば、あらかじめ書字台としても使えるものを選んでおくとよいと思います。

これは、実際に拡大鏡を使って文字を読んだり書いたりする場合に、机に本やノートを置いて上からのぞきこむような無理な姿勢で長時間の作業を行うと、首や肩に負担がかかり疲労困ぱいしてしまうことが多いことから、少しでも楽な姿勢でこのような作業ができないかと訓練生とともに考え工夫してきた成果です。

室内の照明を工夫しよう

机の上で作業をする場合にはとくに手元が暗くなりがちです。このような場合には、室内の照明や電気スタンドで明かりをとるように工夫する必要があります。

室内の明るさを考えるときには、まず窓から入る自然光を利用して解決できる方法を検討します。自然光だけでは十分な明るさがとれない場合には、室内照明や電気スタンドなどで工夫します。

室内照明や電気スタンドを選ぶときには、ランプの種類を選ぶことが大切です。白熱ランプやインバーター内蔵の蛍光ランプ、クロマルックのような特定の波長をカットしたもの、LEDなどのいろいろな種類があるので、自分の眼にあったものを選びましょう。

また、室内照明と電気スタンドを併用するときには、そのルックス比が3:1以下になるように考慮する必要があります。明るさの対比が大きくなると、照明にむらが生じ、眼精疲労を起こすことがあるからです。

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