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カラー認識

カラーコントラスト

私たちの生活環境には、さまざまな色彩があふれています。色彩学の世界では、人間が見分けられる色は約700万色もあるといわれています。なんと多彩な世界に私たちは存在しているのでしょうか。

私たちは、眼の中心でその色を識別します。その中心から左に10度、右に乳頭をこえて30度ぐらいまでが3色視の範囲で、赤・青・緑を識別しています。網膜の錐体細胞がこの3色に対応して、約700万色の色を識別しているのです。また、それよりも外側の視野では、青と黄色の2色視になり、もっと端になると色は全くわからなくなるといわれています。

■色の3属性について

カラーコントラストを考えるには、まず、その色の特徴をイメージすることが大切です。色の3属性については、学校の美術の時間で学ばれた方も多いと思いますが、ここでもう一度、復習してみましょう。

まず、色には3つの要素があります。色の3属性とは、その3つの要素、色相、明度、彩度のことをいいます。

●色相

色相とは赤、黄、緑、青など、その色を特徴づける性格をあらわし区別する名称のことです。これを環にして並べたものが色相環で、隣り合った色を類似色、向かい合った色を補色といいます。

色相環のイラスト

●明度

明度とはその色の明るさや暗さの度合いのことで、明度が高ければ高いほど明るいということになります。明度がいちばん高い色は白、明度がいちばん低い色は黒です。

●彩度

彩度とは、色の鮮やかさの度合いのことです。彩度が高ければ高いほど鮮やかな色になります。彩度のある色を有彩色といいます。また、白、灰、黒は明度だけで、色相や彩度はないため無彩色といいます。

■さまざまな色の対比

カラーコントラストとは色を対比することです。色は、ほかの色と対比することで、さまざまに変化して見えます。

●色相対比

同じ色でも背景の色によっては異なった色に見えることがあります。これを色相対比といいます。同じ橙色でも、赤を背景にしたときは黄みをおびて見え、黄を背景にしたときは赤みをおびて見えます。これは、その色が、色相環では背景の色の補色の方向に影響を受けるからです。

●明度対比

同じ色でも、暗い色を背景にしたときには明るく、明るい色を背景にしたときには暗く見えることがあります。これを明度対比といいます。また、本や雑誌は白地に黒文字を用いることが一般的ですが、これを反転して黒地や濃い灰地に白文字を用いると見やすくなることがあります。

●彩度対比

彩度対比とは、色の鮮やかさを対比することです。同じ色でもより鮮やかな色を背景にしたときにはくすんで見え、くすんだ色を背景にしたときには鮮やかに見えます。

●補色対比

補色対比とは、赤と青緑、黄と青紫のように、補色の関係にある色を対比することです。この色の組み合わせは、互いに強調しあうことで彩度は高くなりますが、文字の場合は、逆に読みづらくなることがあります。

■カラーコントラストを活用する

色は対比をすることで、その特性をいかすことができるようになります。このようなカラーコントラストは、日常生活のなかでも、さまざまに活用することができます。  では、実際にどのように活用できるのか。その具体例をあげてみましょう。

●洋服の色を選ぶ

ある女性は、洋服を選ぶことがたいへん苦手でした。店の照明にも原因はありましたが、その主な理由は、洋服の色がよくわからないことにありました。  この女性にひとつだけ色を見せると、その色は全くわからないとこたえられました。そこで2つの色を対比すると、その色の違いがわかりました。3色を対比すると、それぞれの色の名前をいうことができました。

 この女性は、ひとつの色だけではその色を判断できないのですが、2つ以上の色を対比することでそれぞれの色を見分けることができたのです。

そこで、さまざまな色を対比して見ることができるようにカラーチャートを作成しました。すると、この女性がそれまで真っ赤だと思っていた色が、実際は茶系の色であったことまでわかるようになりました。

●農作物の色を見分ける

ある農家の方は農作物の色がよく見えなくてたいへん困っていました。農作物を収穫するには、適切な時期があります。しかし、いつ収穫すればよいのか、その時期を判断するためにはその農作物の色を見分ける必要があったのです。

そこで、この男性がその色を判断できるように色見本を作成しました。そして、この色見本の色と比べて、農作物が同じ色に見えるときに収穫するようにアドバイスをしました。

この男性にとって、色見本の色はそれまで覚えていた色とは違った色に見えました。しかし、この色見本を利用することで、また、適切な時期に農作物を収穫することができるようになりました。

●文房具を色で分類する

ある事務職の青年は、さまざまな文房具を整理するために、机の引き出しに色紙を敷きました。そして、その引き出しには、その色と対比効果の高い色の文房具をまとめました。

文房具を整理するときには、一般的に用途別に分類することが多いのですが、それだけでは探すことに手間取ってしまいます。そのため、自分が見やすいようにカラーコントラストを利用して色別に分類したのです。そこで、青年は文房具を簡単に見つけることができるようになり、仕事の時間も短縮することができるようになりました。

このように、実際にカラーコントラストを活用するときには、背景となる色と配置する文字やものの色の関係を効果的にすることが大切です。それぞれの色相や明度、彩度を考慮にいれ、背景となる色に映える色のものを効果的に配置することで、見やすさが格段に変わります。

実際には、眼科や訓練センターでコントラスト感度を計測することはまれです。カラーコントラストや色を活用する方法についても、診療や訓練の場で話されることはほとんどありません。しかし、あなたの身のまわりには、実際に多くの色彩があふれています。これを活用しないことはありません。

カラーチャートや色見本は、日本色彩研究所から出されている色紙を用いて作成することができます。まずは、実際の色と自分に見える色の違いを確かめ、色の名前を整理することからはじめられると良いでしょう。

色見本の例(上:白背景、下:黒背景)

色見本(白背景)
色見本(黒背景)
左から クリーム、茶、うす青、赤、緑、黄、青、白、黒、オレンジ、うす緑、紫、肌色

◎色覚と光覚について

色覚とは、色を感じ見分ける感覚のことです。網膜の視細胞のうち、中心部に多くある錐体細胞の働きで、光の波長を感じとり、それを大脳に伝えて色を感じることができます。一説には、錐体は3種類あり、それぞれ赤、青、緑の光の波長を感知して吸収しているといわれています。この3つの光のバランスでさまざまな色を感知しているのです。

また、光覚とは、光を感じその強さを区別する感覚のことで、色調、明度、彩度の3つの要素を持っています。明るいところでは網膜の錐体細胞が、暗いところでは桿体細胞が、光のエネルギーを電気エネルギーに変えて脳に伝達することで、私たちは光を感じることができるのです。

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