夕べはあまり眠れなかった。眠れないときは、NHKのラジオ深夜便をモソモソと聴いている。2時40分くらいから5分くらいだろうか「音の風景」が流れている。ナレーションがなくてもイメージできる風景から、あっても確定できない風景まである。布団の中で少し神経が高ぶっているのだろうか、自然な音を聴くとこころが穏やかになる。と言ってもスピーカーから流れてくるので、音の広がりはない。録音マイクで音をとるのは、とても難しく、理屈抜きで耳のすばらしさを感じたことがある。
 川のせせらぎや、滔々と流れている川の音を採ることや海の様々な音を採るのにも随分苦労した。感覚訓練の中で「音のスナップ写真をとろう」と提案し、実際に自分のふるさとの音を採ってみたり、季節の音を採ってみたりしたことがある。なかなか、音をいいように採るのは難しいんですね。今も録音技術は上手くはないけど、時々思い出したかのように音風景をとろうと試みる。
 そう言えば、デンマークやスウェーデン、イギリスに行ったときに音響信号機の音もとったけどどこにやってしまったんだろう?聞き慣れない音を聞いたとき、思わずICレコーダーと外付けマイクを持ってきておけば良かった等と思うのだ。
 例えば僕が住んでいた函館の町の音は、ぼーっぼーっと遠くから聞こえてくる列車の音やウミネコの鳴き声、カンカンと聞こえてくる教会の音、朝の「イカイカいらんかねぇ」という物売りの声、市電の車音などがある。普段聞いていても意識にのぼらないことが多かったなぁと思いつつ、ふとしたときに意識にのぼる。
 いま住んでいるところの音は、ジェット機の音や、郭公やホトトギス等の野鳥の声が意識にのぼる。雨音を楽しんだりもできる。生活音も豊富だ。でも、多くの生活音は、どの地方でも同じになりつつあるように思うのは、僕だけだろうか?