沖縄の石垣市で「げっこう」の写真が撮られたとのこと。月明かりではない。月の光に照らされた虹である。満月のとき、その月の周囲に雲がかかっていて、円状のリングが取り囲んでいる現象は幾度となく経験してはいるが、月の光に照らされた半円の天空にかかる虹は、確かに見たことはない。記事によると自然現象が整えば見られるとのことだが、肉眼で見ても白く見えるというけど、じっくり観測すると、確かに虹とわかるのだろう。なぜなら、言葉として月虹があるからだ。
昔の人は、よく現象を観察していた。今どきの超高速のカメラで解析される炎のゆらぎとか波しぶきの散るさまとかが、その手立てのない時代の画家の表現の中にあらわれていたりする。だから、注意深く観察する眼があれば、「月虹」の七色も感じられるのかもしれない。