51回目の新しい年を迎えた。もう10年近くなるだろうか、年末年始の節目の時に、過ぎゆく1年に思いを巡らし、新たな1年に抱負をいだくような時を持つようになった。年初に今年1年をどうするかを心に描くことで、具体的な1年を送れるようになった。
2012年、新たなロービジョン・ケアの実践に向けて一区切りをつけようと考えている。一つ目は、日常生活が個々バラバラな次元でなされているわけではないことから、一つながりのものとしてできないかというチャレンジである。訓練をしていても訓練だけにとどまらず、メンタルケアをしていてもメンタルケアにとどまらない。原職復帰を目指して具体的に動いているにもかかわらず、様々な要素に対して過不足なく同時進行的に動いている。つまりは、それぞれの断片として支援するのではなくトータルとして支援していく。それは、別段気負うわけでもなく淡々と「現在、必要なもの」をスピード感を持って取り組んでいるイメージだ。
二つ目は、視野の意識化のためのより効率的かつ継続可能なトレーニング法の確立である。
3分間ないし5分間のトレーニングを通して「気づき」とか「発見」をしながら、楽しんでできる方法を創りたい。この中には、カレンダー法との関連性も含めて、具体的な実感レベルまで落とし込めるような方法を模索しようと考えている。
三つ目は、ワークショップ形式で、「視野の意識化講習会」なるものができないかを模索しようと考えている。すでに、東京LVSTや北海道ロービジョンケアを考える会、京都で、その実践が始まっているけれども、まだまだ浸透していないのも現実である。ワークショップ形式にすることで、①専門職への技術伝達講習ができる②当事者に対して、きめ細かい支援ができる③ワークショップを通じて仲間ができお互いに励ましあえる状況がつくられるようにも思う。
この一年間、神戸での様々な工夫を試みつつ、この地での実践から新たなものを生み出せるよう、これまで以上に、真摯にロービジョンケアに取り組んでいる専門職のみならず、ロービジョンの当事者のみなさんと協同していきたいものである。