日本ロービジョン学会に1年ぶりに参加した。港の近くの北九州国際会議場で行われた。自ら取り組みはじめたロービジョンケアの最初の地が九州であり、その時代の懐かしい仲間たちが多く発表していたこと、平成元年の12月にはじめた「ロービジョン研究会、アナミ」の20年以上の活動が続いていることに、感慨を覚えた。
福岡大学の公衆衛生学でお世話になっている先生も触知覚についての取り組みを発表しておられ、知的な刺激を存分に受けた。
市民公開講座の講師で来られた鎌田實氏(医者で作家)とも控室で個人的に20分あまり色々と話ができ、さらに思い出が深くなった。
一方で、この5年近く、自らが招いた未熟さによって、組織的には十分にロービジョンケアができない環境にいたため本当にこのままでいいのかと問わずにはいられない思いもあった。とは言え、折に触れて、ロービジョンケアの場面を与えられていたことに、ありがたさも感じてはいたけれども。
いま、僕自身の中でトピックになっていることがある。「視野」だ。何回か書いてきたことだが、視野は限りなく奥が深い。かっては、中心視野こそがすべてに近かったのだけれど、ここ数年は、周辺視野がどれほど全体視を支えているのかを感じる日々でもある。
効率性や有効性の議論の中で、視力的な力が中心視野の方が圧倒的に良いために、軽視される傾向があるのだが、世界全体をざくっととらえるためにはなくてはならないものでもある。ただ、それを日常生活の中で活かすには、ぼくの未熟な専門性では、十分に人に伝えきれないもどかしさもあった。今でもそうではあるが・・・。
いま、改めて、専門性を高めるため、理屈も含めて学びなおしている。今回の学会のテーマに沿っているようでうれしかったのだが。テーマは「今、生きる。今、学ぶ。」だ。