7月18日(土)、19日(日)と札幌で日本ロービジョン学会があり参加したが、学ぶべき事も多くあり、ぼく自身にとっては有意義な学会となった。7月としては、20度前後の気温で、例年になく涼しく、関東の猛暑からホット一息つくといった感じ。滞在していた2日間は雨模様で、すつきりした夏の北海道とは違った印象が残った。
 10年という節目の中のロービジョン学会であったが、学会の内容としては、無難な印象だった。
 最近は様々なスタンスの人達の発表を、肯定的に聴くことに徹しているので、その発表での一言一言が面白く感ぜられるのだが、何か新しい気づきがあったかと問われるとNoと言わざるを得ない。
 気になったのは、学問的ではあるが、ロービジョン者の生活が感じられない。日常生活の中で様々な困難さや困惑の中で生活している一人一人の、そのケアを担っていくために必要な「声」が聞き取れなかった。少なくとも、僕自身は・・・。
 ロービジョン者に見せることも「拡大すること」を良しとする風潮も相変わらずで、等倍若しくは縮小して欲しいという少数の意見は聴きとれなかった。視野のこと、本当に分かっているのだろうかと不安になった。
 訪問指導と称して拡大読書器の指導に1回行くものの、定期的なフォローがない。病院や施設での拡大読書器の指導は、その人の生活に近づこうとしてもなかなか真に捉えられない限界がある。けれども、訪問指導は、生の生活に近づくことであり、その中で、2週間に1回程度、3ヶ月ほど訪問することでかなり使える道具にできると思う。
 何か、研究のための研究になっているような気がしてならないのである。
 とは言え、自分自身の今までの足跡を振り返ってみると、同じようなことをしてきたとも思い、批判なんぞできるわけでもない。
 ただ、若かりし頃から、できるだけ一人一人のロービジョンの心の声を聞こうとしてきた自分として、己に厳しく、一言一言に責任を持って語り続けようと感じた次第である。
 つまりは、自分の愚かさにまた一つ気がつけたことが大きな収穫だったと思うのである。