拡大読書器には、据え置きタイプと携帯タイプ、最近はパソコンに直接取り組むタイプのものがある。携帯タイプのものには、電子拡大鏡のタイプもある。実際のところ、これらを比較検討して自分にふさわしいものを見いだすことは難しい。手にとって納得いくような機会が少ないのである。もちろん、自分が何に使いたいかによって選定するものも違う。使う場所によってもだ。
一般的にこの読書器を様々な場面で使いたいならば据え置き型のものがよい。読むことはもちろん書くことにも、趣味や日常生活場面で活用できる。ただし、場所をとる。保有視野の位置によっては、机の高さとかイスの高さ、あるいは、画面が分離できるものなら本体と分離して置くといったような工夫がいる。画面の映り込みや、XYテーブルの操作速度によっては、ブラウン管タイプか液晶タイプかの選択も必要となる。しかも、何に使うかによってどういうものを選択するかが違ってくる。例えば、学習する場面では、黒板の文字を見るための機能と手元を切り替えられるものが良い。が、カメラを正確に固定することが難しいし、一度固定した場合は、見たいものの方を動かす方が使いやすい。XYテーブルがないものが多いが、もちろんXYテーブルがあるものが使い勝手は良い。読み書き以外どちらかというと不向きである。
同じ学習するといった場面でも読み書きに徹するのであれば、据え置きタイプのものが良いと思われる。カメラが固定された本体と画面が一体型か分離型ているものがある。操作ボタン類がXYテーブルにあるかそれとも本体側にあるかによっても使い勝手は違ってくるが、使い慣れればかなりの要求に応えることができ、しかもかなりの作業に利用することができる。ただし、場所をとるのだ。
一方、携帯タイプの拡大読書器は、持ち運びができることが身上で、簡単な読みや確認には威力を発揮するが、書くことやその他の作業をすることには不向きである。しかし、場所をとらないことからセカンド機としては有用と思われる。正確にラインを追うには、関節の可動域や持ち方の工夫が要る。また、上からのぞき込むタイプのものが多いし、傾斜をつけられるタイプのものでも長時間の読み書きをするには、操作になれるために十分習熟する必要がある。
電子拡大鏡タイプのものは、白黒反転が可能なこと、倍率を変えられることから、早く、簡単な確認には最適である。拡大鏡は白黒反転できないし、倍率も固定されている。もちろん、複数枚のレンズを用いて倍率を稼ぐタイプのものもあるが、視野にはめるレンズの面積が狭く、なかなか使い勝手が難しくなる。それに比べ電子拡大鏡はかなりの倍率を稼いでくれるので、そこそこ使い勝手は良い。また遠くの情報を画面に固定して、ボタンで確認できるものもあるが、長時間使用するには不向きである。読み以外の作業には不向きではある。
パソコンに取り込むタイプの拡大読書器は、場所を取らないことや、パソコンに集約して様々な作業を行う上では強力な武器になりうる。従って、オフィスで仕事をする上では有効ではあるが、様々な趣味的な作業用をする上では不向きだ。
とは言え、拡大読書器は、あきらめていたことをあきらめずにすむという効果はある。
もちろん、選択の上で一番大切なポイントは、保有視覚に対する自覚である。視野や視力のありようによって、使いやすいものが決まりやすい。
そう言ったことをトータルに考えた上で、自分にあったものを見つけ出す必要を感じる今日この頃である。