風が心地よく感じる季節になった。風の音を、風の息吹を感じることが好きだ。色々な生活環境の匂いも運んできてくれる。そう言えば、香りに惹かれていた時期があったことを思い出した。
 京都で生まれ、京都で育つ中で、お香の香りというのは、原初体験としていまも残っているのだろう。それが、匂いに関心を抱く原点だと考えもする。あるいは又、日常生活の中で、季節が移ろいゆく中で、香りに興味を持つことになったのかも知れない。
そう言えば、香道という日本的な粋な遊び?がある。たいていは、源氏物語の名前で表現するのだが、なかなか粋なものだ。匂いを当てることは結構簡単なようで難しい。
 ところで、いまの季節の匂いを象徴するものは何だろう?いま住んでいる土地の匂いは?自分自身の匂いはどんなものかな?ふと、そんなことを考えた。
 土地土地の匂いというのは確かにある。博多や函館の生活の中では、磯の香りやイチゴ畑、キャベツ畑の匂いや、ラベンダー、桜の匂い、雪の匂いが直ぐそばにあった。
 魚の匂いもそうかも知れない。いまの生活の中では、土の匂いや緑の香りがある。それと料理屋から流れ出てくる匂い。結構、スパイスのきいた匂い。ぼーっと町並みを歩いていても、いつもと同じ場所に来ると香ってくる。
 自分自身でゲーム感覚として楽しんでいる。匂いのオリエンテーリングも悪くはない。
 まだまだ身についてはいないけれど、意識化すると確かに感じるものである。明日、目覚めたときにどんな香りに満たされているかを実験してみよう。