ロービジョンケアの勉強会をするのだけれど、勉強会にふさわしい本はないかとの問い合わせがあった。二三心当たりはあるが、果たしてそれでいいのかと問われると一長一短ありで勧めきれないでいる。折しも日が短くなり、読書の秋なんだが、ぼく自身は最近本を読まなくなってきている。「まずいなぁ」と思う。
何時の頃か、本の献呈が増えた。戴いたものだからきちんと読む。読んだ後、その著者に対して感想を言わなければならないのだが、さてさてどのように応えたらいいかと考え込んでしまう。率直に感じたままに言えばいいのだけれど、行間の余白に溢れるその人の世界も大切に感じ、結局ものを言わずに済ませている。
最近、あれこれ表現する以上に、人の話を聴くのが楽しくてたまらない。こころの中の思いを言葉に託していること、表現された言葉の背景を感じるからか、いままでボーッ聴いていたことに気づかされている。同時に、学ぶべきことが多く楽しめる。
ロービジョンケアについても然りで、遮二無二取り組んでいたときとは違った今だからこそ感じられる世界がある。本当に必要であれば、「きつかけ」づくりをするだけでいいのだと感じられる。何が何でもわかる必要もないし、まして、強引にわからせようとすることもない。力が入っていても結局は伝わらない。淡々と事実を積み重ねていくことが、大切なんだと感じる。
見えることの不思議さにこころ惹かれ、聞こえることの静謐さに感動し、触れることのぬくもりを愛おしく思い、馥郁とした香りにこころ躍らせる。当たり前のことだけれど、一人ひとりの違いが楽しいのだ。違うからこそ、それぞれの人との対しかたも違っていい。
同じことを表現する必要もない。そんなことをしっかりと考えるのだ。
「赴くべきところに赴く」そんな心境で取り組みたいな。