今年の忘年会に「国稀のにごり酒」を提供した。日本最北の地・増毛で作られるこの酒は、辛口ですっきりした飲みごたえもあり、普段から飲んでいる酒ではあるが、口当たりが良く飲みすぎるため酔っぱらってしまう。ふるまったメンバーがお世辞かもしれないがおいしいといい、あっという間に無くなったことで、改めていいお酒という印象を強くした。
新しいメンバーとの酒宴の席も楽しく、大いに飲み語った。普段ならかなり酒が入ると寝てしまうのだが、今回はパッチリ起きていた。調子がいいなあと思いつつ、最後にやらかしてしまった。自宅への帰り道、新快速で2駅先に乗り過ごしてしまった。幸い、戻りの電車があり難を逃れたが、忘年会が終わるまで注意しないとと思った。
記録に残る「忘年会」という言葉は明治10年代とのこと。当時も今も変わらず、酔っぱらいに往生していたらしい。年末に集まって飲む習慣は、室町時代の連歌会の後に、飲み会をしたことまで遡れるらしい。その時代の飲み会は、風流だったのだろうか。
ずいぶん前に、網膜色素変性症の人たちがお酒をたくさん飲むと「よく見える」と言っていたことをこの時期に思い出す。アルコールにより血流が良くなり、網膜に潤沢に血がめぐり、見え方が改善されるのだとの説明を受けたように思う。さらに、そのことから、治療の中で血管拡張剤なるものが処方されているとも聞いた。しかし、血流量を増やしコントロールが良ければそのまま見え方が維持できるかというと、生体の機能的な側面からそうとも言い切れない。難しい問題がある。
あまり、経験値だけで物事を語ることは慎みたいが、今まで何千人ものロービジョンの人たちと会っての感覚で言うなら、「体力を消耗しすぎることが続くと見え方に変化をもたらす可能性が高いようだ」と。病気にかかっても体力がある時は治癒するが、あまりに身体が疲れ切っていると治らないことからもそう思うのである。
今年の年末は、暴飲暴食を慎み、風流な忘年会を楽しみたいと思っている。