巡礼の旅に出た。11月の三連休をそれにあてた。今年は、祖母の死から初まって、随分とお世話になった方々との別離があった。とりわけ、気になる方がいた。MさんとSさんである。しかも、MさんがいたH市に行く機会に恵まれなかった。
連休の初めH市での用事が入ったお陰で行くことができた。また、連れとなる人もいて、その人とも久しぶりにお会いすることができた。
個人の自宅にお伺いし、いまだにその亡くなったMさんがふっと現れてくるような感もあったが、仏壇にお線香をあげ、家人の話を聴きながら、そのMさんの人生の道行きを心の中で追体験もした。普段生活の中では垣間見ることのできない様々なその個性を感じ、なお、親しみ深く思うと同時に出会えることがいかにありがたいものなのかを感じもした。
また、志半ばで亡くなったF市のSさん。バイクでツーリングするのが好きなおじさんだった。その在りし日には気がつけなかった故人の日常を感じ、いかに出会っていたとしても、その人の断面しか見ていないことを改めて知ることとなった。
去る者は日々に疎くなりゆくものとも言われるが、ふと、その人のことを心の中で思い浮かべると傍らに居るかのように感じられることがある。そんな不思議な旅だった。